ンーチャフトゥキ みやげもんコレクション335 BRUTUS No.930
みやげもんコレクション 335ンーチャフトゥキ
沖縄県/那覇市
文 / 川端正吾
琉球古典芸能の姿を伝える素朴な土人形。
那覇市で、古くから伝わる沖縄の郷土玩具を作り伝える〈琉球玩具製作所こくら〉。以前、本連載でもご紹介した、愛嬌あふれる張り子細工が有名ですが、実は、沖縄芸能をモチーフとした土人形も継承しています。
まず前列左から「ムンジュルー」と呼ばれる土人形、麦わらで作った平笠を小道具とした、素朴で清楚な印象の踊りの姿です。続いてはお馴染みの「さんしん」。沖縄では欠かせない楽器の演奏者ですね。次の「ちじん」は、とても謎の多い打楽器。どういう形状で、どう使われたのか、よくわかっていないのだとか。後列左は、テンポの速い民謡に合わせて即興の踊りをする「カチャーシー」の人形。「カチャーシー」とは「かき混ぜる」という意味で、宴会や祝い事、とりわけ結婚式のフィナーレで新郎新婦や招待客が一斉に踊り、場が一気に盛り上がる、あの踊りです。そして、最後の「ぬふぁ節」は、沖縄の古典舞踊を代表する踊りで、琉球独特の紅型(びんがた)の衣装をまとい、花笠を持って踊ります。乙女が恋人に会いに行ったが、会えずに戻る辛さを、所作で表現している様子です。
写真上/ンーチャ フトゥキ4,000円*5体セット(琉球玩具製作所こくら ryukyuhariko@gmail.com)。写真中/琉球玩具製作所こくらで継承しているヤカジ。写真下/同じく紙雛箱。
掲載:BRUTUS#930 (2021年1月1・15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。