From Editors No. 168 フロム エディターズ
特集内容
ANDY WARHOL’S LEGACY
アンディ・ウォーホルは何を遺したのか!?
「誰もが15分は有名人になれる。そんな時代がいずれ来るだろう」
アンディ・ウォーホルによる、まるで現代のインターネット社会を予言したかのような言葉です。そうです、ウォーホルが現代に遺したものは、その膨大な作品群だけではありません。この特集では、かつて”ポップアートの旗手”と呼ばれたアーティストが遺した、広範な分野にわたる奥深い世界にご案内します。
表紙は、きゃりーぱみゅぱみゅ in キャンベル・スープ。現代のポップアイコンとウォーホルの代表作による奇跡のコラボレーションです。NIGO®さんが所有するコレクションで実現しました。
ウォーホルの表現手法やコンセプトは今でも世界中に影響を与えています。レディー・ガガさん、オノ・ヨーコさん、名和晃平さん、坂本龍一さん、草間彌生さん、フィリップ・ワイズベッカーさん、横尾忠則さん、森村泰昌さん、佐藤可士和さん…など、たくさんのクリエイターたちがウォーホルについて語ってくれました。
生誕の地ピッツバーグにあるアンディ・ウォーホル美術館や、そこに眠るアーカイブ、《キャンベル・スープ缶》《マリリン》など誰もが知っている名作の実は意外と知られていない秘密も必見です。
その他、作品の値段から、現代美術やメディアへの影響、来日秘話、ファッション、インテリア、ゴシップ、名言、人間関係、グッズ…などなど、ありとあらゆる内容を網羅。まさに完全保存版のアンディ・ウォーホル大特集です。
Editor’s Voice
キャンベル・スープ缶をお供えしてきました。
もうこの世にいないとはいえ特集を組んでその人の世界に深く入り込むのであれば、やはりご挨拶は欠かせないのかも知れません。これからするのはそういう話です。
アンディ・ウォーホル特集を作り始めたのは昨年11月からでしたが、当初は取材がなかなか上手くいかず、困難を極めました。普段はスムーズにいくはずのポイントで、いつも何らかの必ずトラブルに遭ってしまったのです。いくつか例を申しますと、
・この人には話を聞いておくべきという方が、取材を申し込もうとしたタイミングで怪我にあってしまう…。
・そこにあるべきウォーホルの写真がなぜか見つからない…。
・アンディ・ウォーホル美術館のあるピッツバーグへ向かう途中、経由地のシカゴ空港で相次ぐ遅延に巻き込まれ、半日以上待たされる…。
・最低気温−13℃だったピッツバーグのホテルで、まさかの暖房故障により夜中1時に部屋の引っ越しをするはめに…。
・ウォーホルが幼いころに通っていた教会で、普段は簡単に開くはずの扉に中からカギが掛けられており、零下の地で約1時間ほど立ち往生…。
まるでウォーホルが取材されるのを拒んでいるかのように、なかなか前に進めなかったのです。そんな状況に転機が訪れたのはお墓の撮影をしてからでした。
ピッツバーグの郊外にあるビザンチン教会の共同墓地にはウォーホルが眠る墓があります。そこを訪れる人はウォーホル作品にまつわる商品をお供えしていくといわれています。そこで、我々も例にならってキャンベル・スープ缶をお供えしてみたのです。すると、これまでの状況がウソだったみたいに、その後の取材がスムーズに進んだのです! お墓参りをすることで初めて特集を作ることを認めてもらえた、ということだったのかも知れません。
ちなみにお墓の様子はライブ・ストリーミングされています。ご興味のある方はこちらをクリックしてみください。ただし、時差を考えないと夜の怖いお墓が出てくることもありますので、お気を付けて…。