マガジンワールド

みんな猫ファーストでした。 Editor’s Voice No.235

Editor’s Voice
みんな猫ファーストでした。

猫は可愛い! でも
(猫トイレも爪とぎも、ましてキャットタワーも、インテリアに馴染むものってなかなかないよね……。)
(自慢のソファがガリガリされちゃうのも嫌だし、飾っているモノを悪戯されるのも困るし……。)
インテリアに一家言あって、かつ猫と暮らしている人たちは、どうやってそうした悩みを解決しているんだろう。そんな疑問から、今回の特集はスタートしました。

獣医、建築家、スタイリスト、様々な方にヒアリングをして見つけ出した提案の数々は本誌をご覧いただくとして、誌面には書けなかったことを一つ。
デザインジャーナリストの加藤孝司さんと打ち合わせをしていたときに加藤さんがポロっと一言。

「そもそも猫と暮らすのって、せつなさを受け入れるってことなんですよ」。

え、せつなさ? 真意を聞くと……。

「親以外に、自分よりも確実に早く死ぬとわかっている相手と暮らす、って動物を飼うことくらいだと思うんですよ。そう思うと、一緒に暮らしている間は、できれば猫が好きなようにさせてあげたい。僕も仕事柄デザイン家具やアートを沢山持っているし、インテリアにもこだわりたいけれど、あくまでジャスパー(加藤さんの猫)の居心地の良さを優先してあげたいんです」。

そうだよね、たしかに……。

「猫と暮らすようになって、むしろ悪戯されないように部屋に置くものを精査するようになったし、花瓶や器などの割れ物を飾るのは潔く諦めて、猫と一緒に楽しめるインテリアのあり方を考えるようになりました。同棲と同じだなって気づいたんです。好きな女の子と暮らすことになったら、彼女がどうしたら居心地がいいかを考えるし、自分だけの趣味でなく相手のテイストも受けいれるようになる。その結果、自分一人じゃやってみようともしなかったことをトライしてみて、意外とそれが気に入ったりすることもある。僕の家で言えば、ソファをジャスパーが引っかかないように布を被せているんですけど、それがきっかけで季節毎にテキスタイルを替えるのが楽しみになりました」。

なるほど。加藤さんに限らず、様々な方を取材していて共通していたのは、みんなこだわりやさんだけれど、あくまで猫ファースト。猫と暮らすということは、せつなさも、思い通りにならない不条理さも、すべてを受け入れて、新しい家族との生活を一から一緒に作っていくことなんだな、と思いました。

誌面では猫と上手に暮らすための様々なインテリアアイデアを紹介していますが、それは本当にあくまでひとつのサンプル。人の数だけ暮らし方があるように、猫の性格や飼い主のライフスタイルによって、唯一無二の正解はありません。

今猫と暮らしている人も、これから新しいパートナーを家に迎える人も、本誌が少しでも猫との心地良い生活の一助になれば嬉しいです。

 
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猫テントで眠る加藤さんのジャスパー。
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自作したご飯トレーで食事をするジャスパー。
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撮影用にポーズを決めてくれるジャスパー。


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内田百閒『ノラや』。せつなエッセイの極北!
 
特集担当編集 井手裕介
 
CASA BRUTUS No. 235

猫と家。

980円 — 2019.09.09電子版あり
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CASA BRUTUS No. 235 —『猫と家。』

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