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家づくりのために必要な、本当の年月とは。 Editor’s Voice No.239

Editor’s Voice
家づくりのために必要な、本当の年月とは。

毎年恒例の1月発売の住宅特集。今回のテーマは、「家をデザインするということ」。nendoの佐藤オオキとSMALLCLONEの佐々木一也という2人の注目デザイナーがそれぞれ別の場所で、同時に家を建てているという話を聞き、デザインの視点をどのように取り入れながら家をつくっているのかに注目して、取材させていただきました。

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この2つの家の着想やデザイン、ディテールへのこだわりについては、それぞれ20ページに渡り詳細に取材していますので、ぜひ誌面でご覧いただければと思いますが、これら2つの家づくりには、表現されている個性やアプローチにこそ違いがある一方で、興味深いいくつかの共通点がありましたので、ここではそれについて触れてみたいと思います。

まず、ふたりのデザイナーが、共に1977年生まれであるということ。そして、デザイナーと依頼主が古くから付き合いのある仲間であったということ。
15年ぶりに住宅を手がけた佐藤オオキと依頼主の伊藤明裕は、もともと高校のボート部の先輩後輩という関係で、その後nendoの設立から現在に至るまで、長い時間を共にしてきました。また、今回初めて住宅を手がけた佐々木一也も、依頼主で写真家の水谷太郎とは旧知の仲で、それぞれがインテリアデザイナー、写真家としてまだ駆け出しだった頃に、同じ現場を経験したこともあったといいます。
つまり、実質的に費やされた2年〜3年程度という設計施工期間とは別に、デザイナーと依頼主が、お互いの考え方やセンスを共有するための、いわば助走期間があったのです。家づくりが20年先の暮らしをイメージしながらデザインするものだとすれば、20年近く助走期間があったことは、お互いが信頼関係を築くために必要な時間として、もはや必然だったとさえ言えるかもしれません。
そして、最後にもうひとつの共通点。竣工(正確には撮影可能日)が、共に12月中旬であったということ(!)。校了日まで1週間という迫り来る締め切りと、移り変わる天気予報、日々の施工状況に一喜一憂しながらも、施工関係者や職人の皆様に大変多くのご協力を頂き、無事に撮影させて頂くことができました。ディテールまでこだわり抜いた美しく、そして熱い家づくりを、ぜひ誌面にてご覧いただければうれしいです。

 
特集担当編集/奥村健一
 
CASA BRUTUS No. 239

家をデザインするということ。

990円 — 2020.01.09
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CASA BRUTUS No. 239 —『家をデザインするということ。』

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