みやげもんコレクション 181 御手洗団子
滋賀県/大津市
文 / 川端正吾
近江八景の一つに数えられる名勝でいただく団子守り。
「辛崎の松は花より朧にて」と芭蕉の句にも詠まれる唐崎神社。琵琶湖のほとりに大きな霊松が聳え立ち、近江八景の一つにも数えられる絶景スポットとして知られています。この神社では、毎年7月28・29日に、暑い夏を無事に乗り切れるようにと祈る『みたらし祭り』が行われます。夏越の和歌を唱えながら行う「茅の輪くぐり」や、巫女が清めの湯を参拝者に振りかける「湯立て神楽神事」など、様々な神事が催される中、最も長い列ができるのが、「御手洗団子」を買い求める列。とはいっても食べる団子ではなく、お守りの団子のことです。
もともと「御手洗」とはお祓いの場という意味で、御手洗団子は、その神前に供える神饌でした。唐崎神社では、古くからこの神前に供える団子を模したお守りを授与しており、みたらし祭りの際には毎年いただいて帰るのが恒例になっています。神社では神聖な色として緑・黄・赤・白・黒の五色をよく用いますが、「皆さまに苦労がないように」と、黒(苦労)を抜いた四色団子に。家内安全、無病息災を願い、すべて神職の方によって手作りされています。
写真大/御手洗団子500円。写真上/平日は神社向かいの〈近江かぎや〉で購入可。団子も食べられる。写真下/高さ11mの巨大な霊松。●唐崎神社/滋賀県大津市唐崎1−7−1。社務所は日曜・祝日のみ。
掲載:BRUTUS#776 (2014年5月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。