みやげもんコレクション 198 祝凧
島根県/出雲市
文 / 川端正吾
鶴と亀が舞い慶事を祝う、大社の祝凧。
出雲大社に仕える千家・北島の両国造家に祝い事のあった際、“国引き伝説”で有名な稲佐の浜で氏子たちによって凧揚げがされました。これが次第に一般に広まり、慶事の際の贈答品として定着したのがこの祝凧。現在は、実際空に揚げることはほとんどなくなってしまいましたが、縁起物として玄関などに飾る小型の凧として残っています。
赤い凧は「鶴」という文字がモチーフになっており、これは千家国造家の背後に聳える鶴山を表しています。黒い凧は「亀」の文字がモチーフで、これは北島国造家の背後の山、亀山を表します。この「鶴」と「亀」のおめでたい取り合わせが一対で飾られます。現在、製作を続けているのは、大社のすぐそばにある〈大社の祝凧高橋〉。もともとの凧揚げ用のものは畳半畳ほどの大きさでしたが、飾り物になった現在は約20〜50cmのサイズとなっています。複雑な曲線の多い凧のため、小さくなればなるほど、竹ひごで骨組みを組むのが大変。紙貼りから絵付け、乾燥まですべて手作業のため、1つ完成させるまでに4〜5日かかる、手の込んだハレの日の凧です。
写真大/祝凧(中型凧セット)4,500円(大社の祝凧高橋☎0853・53・1553)。写真上/出雲大社の門前町、大社町にある大社の祝凧高橋。写真下/祝凧のほか「鯛車」と「じょうき」の2つ玩具を製作。
掲載:BRUTUS#793 (2015年2月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。