みやげもんコレクション 200 猫面
新潟県/南魚沼市
文 / 川端正吾
化け猫伝説から生まれた、浦佐の猫面。
豪雪地帯として知られる南魚沼市浦佐。まだ一面雪景色の3月3日、普光寺毘沙門堂では『裸押し合い祭り』が開かれ、大勢の男性が上半身裸でもみ合います。今回ご紹介する「猫面」はこの普光寺に伝わる化け猫伝説に由来する玩具です。
その昔、毘沙門堂で按摩師がお坊さんの体をもんでいると、いつもの体つきと違うことに気がつき、思わず手を止めます。すると、お坊さんは巨大な化け猫となり、「俺は裏山の化け猫だ。口外いたせば、お前を食い殺すぞ!」と脅しました。按摩師は急ぎ村に知らせ、総出で山狩りしましたが、化け猫は見つかりません。仕方なく毘沙門堂へ戻り、押し合いながら気勢を上げていると、梁に潜んでいた化け猫が勢いにのまれて落ちてしまい、村人に踏みつぶされた、という言い伝えがあります。
この逸話から『裸押し合い祭り』が生まれました。祭りの日には、門前でこの化け猫を模した猫面が、魔除けの御守りとして売られたそうです。現在、普光寺では猫面は販売されていませんが、地元の画家である早津剛が古い猫面を発見し、復元品を製作しています。
写真大/猫面(大)2,500円(早津ギャラリー☎025・792・1451)。写真上/手漉き和紙を張り合わせ、一つ一つ手作業で作られている復元の猫面。この猫面の木型はあの名工、左甚五郎の作であったと伝えられている。
掲載:BRUTUS#795 (2015年3月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。