みやげもんコレクション 206 鹿面
愛媛県/宇和島市
文 / 川端正吾
350年以上続く宇和島の民俗芸能、八ツ鹿踊りの面。
ついに待ちに待っていた玩具が届きました。愛媛県宇和島市の張り子工房、よしを民芸店による「鹿面」。宇和島に古くから伝わる民俗芸能「八ツ鹿踊り」
にちなんだ作品です。
八ツ鹿踊りは、鹿の面を頭に着け、上半身をススキ柄の赤布で覆った姿となり、8人が息を揃えて踊る、とても優雅な舞。牡鹿7頭に牝鹿1頭の一団で踊られ、牡鹿が牝鹿を探し回り、やがて隠れていた牝鹿を見つけ、みなで喜び合うという筋書きになっています。鹿踊りはもともとは宮城県に伝わるものでしたが、初代伊予宇和島藩主で伊達政宗の長男である伊達秀宗により伝えられたとされています。
よしを民芸店では、この鹿踊りの面のほか、『牛鬼まつり』など宇和島の伝統文化をモチーフにした郷土玩具を数多く製作。鹿面は先代が考案した作品で、ここ10年以上製作されておらず、昨年工房にお邪魔した際に、ぜひともまた製作してほしい、とお願いしたところ、ようやく完成して送っていただいたもの。鹿面は定番でないため、一度作るとまたしばらくは作らないそうなので、手に入れたい方は、この機会にぜひとも!
写真上/鹿面(大)4,000円。☎0895・24・6812。よしを民芸店の宇都宮よしを氏は、面やだるまなどの郷土玩具製作のほか実際の民俗芸能に使う獅子頭や牛鬼などの製作・修復も手がける。
掲載:BRUTUS#801 (2015年6月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。