マガジンワールド

みやげもんコレクション 213 勝駒

京都府/京都市
文 / 川端正吾

勝駒

困難に打ち勝つための生命力をもたらす、必勝の絵馬。

京都三条にある武信稲荷神社は、“必勝”の神様として信仰を集める社。かつて豊臣秀吉は朝鮮出兵の際、この神社で授与される将棋の駒のような形をした守護札(絵馬)「勝駒」を持参したと伝えられています。一般的な絵馬のように木地のままではなく、全体が稲荷大神の御霊(みたま)の働きを象徴する色とされる朱色で塗られています。また朱色は神の加護によってもたらされる福を表す色でもあるのだとか。

“勝”の文字には、苦難に打ち勝つ、学問技芸に勝る、健康に勝(すぐ)れる、など、様々な意味が込められており、総じて人間がたくましく生きていくための強い生命力を指しています。そのため、勝負事に勝つというだけでなく、何かを克服したいと願う人々も、パワーをもらうためにこの勝駒を求めて参拝します。

授与が始まるのは、天地に陽気がよみがえり、万物が活き活きと活動を始める、一年で最も陽気の盛んな時期とされる、節分(毎年2月3日頃)、または初午(2月最初の午の日)です。

また、武信稲荷神社は、坂本龍馬とおりょうの縁を結んだ神社としても知られ縁結びの神様としても有名です。

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写真上/勝駒。1,500円(武信稲荷神社☎075・841・3023)。写真中・下/神社のそばにおりょうの父が入った獄舎があり、龍馬はおりょうが来ることを見越して神木に「龍」の字を彫って無事を知らせた。


 

掲載:BRUTUS#808 (2015年9月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。