みやげもんコレクション 219 お犬様
埼玉県/秩父市
文 / 川端正吾
神様の使いとして仰がれてきたオオカミの縁起物。
埼玉県の奥秩父、三峰山の山頂にある三峯神社。日本武尊(やまとたけるのみこと)は、東征の際、今の山梨から群馬を経て碓氷峠(うすいとうげ)に向かう途中、この三峯山に登りました。三山が美しく連なる山並みは日本武尊の心を打ち、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉册尊(いざなみのみこと)を祀る御宮を建て、国が永遠に平和であることを祈ったそうです。その伊弉諾尊、伊弉册尊の使いとして仕えるのがニホンオオカミ(お犬様)。かつて、オオカミは勇猛さと、忠実さから、神の霊力を受け、同等の力を持つ動物として仰がれていました。また「オオカミ」とは、三峰山の不思議な霊気を指す言葉である、という記録もあり、あらゆるものを祓い清めてくれ、災いを取り除いてくれる存在として、民衆に受け入れられました。
三峯神社では、このオオカミ信仰にちなんだ様々な縁起物が授与されています。古くから知られるのは、オオカミの描かれた御神札。一家の無事息災を祈り、家の玄関に貼りました。上の張り子も、オオカミにまつわる授与品の一つ。比較的新しく、平成18年から授与され始めたもので、境内に祀られるオオカミ像をモチーフにした厄除けの縁起物です。
写真上/オオカミ張り子1,800円。白もあり。写真中/境内にあるオオカミの石像。写真下/豆をまきながら、大きな木の棒「ごもっとも様」を振り上げる神事。●三峯神社/埼玉県秩父市三峯298−1。
掲載:BRUTUS#814 (2015年12月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。