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上岡馬頭観音の絵馬 みやげもんコレクション 248 BRUTUS No.843

みやげもんコレクション 248上岡馬頭観音の絵馬

埼玉県/東松山市
文 / 川端正吾

絵馬 小2,500円(東松山市観光協会☎0493・23・3344)。

古き時代の市立ての姿を残す民俗文化財の絵馬市。

埼玉県にある上岡観音は、宝冠に馬頭をいただく“馬の守護神”である馬頭観音を祀る寺院。馬と関わりの深い農家からあつい信仰を集めています。特に毎年2月19日に行われる絵馬市は有名な習俗で、参道に露店がズラリと並び、関東地方の昔ながらの絵馬頒布の姿を今も色濃く残しています。昭和30(1955)年頃までは、100軒近い露店が集まり、毎年1000枚以上の絵馬が買い求められるほどの賑わいを見せました。現在は、農業の機械化などにより、参拝客は減ってしまいましたが、代わりに競馬場の厩舎スタッフや乗馬愛好家たちが絵馬を求めてやってくるように。規模は小さくなりましたが、東松山の冬の風物詩として愛されています。また、農家での馬の飼育が減り、代わって牛の飼育が増えたため、牛を描いた絵馬も作られるようになりました。

昭和の終わりまでは、絵馬を描く人々と絵馬を売る人々による絵馬講が組織されて運営されていましたが、現在はボランティアによる保存会が運営を行っています。こうした絵馬市は現在は貴重で、国の無形民俗文化財にもなっている伝統行事です。

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写真上/絵馬 小2,500円(東松山市観光協会☎0493・23・3344)。写真中/ズラリと絵馬が並ぶ市の様子。写真下/絵馬には、跳ね馬と立馬の2種の絵柄があり、馬の毛色も様々。大きさは4種類。


 

掲載:BRUTUS#843 (2017年4月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。