いわきだるま みやげもんコレクション 249 BRUTUS No.844
みやげもんコレクション 249いわきだるま
福島県/いわき市
文 / 川端正吾
いわき七浜の海の色をまとった群青のだるま。
福島県いわき市で、4代にわたって作り伝えられている「いわきだるま」。丸みのあるコロコロとしたフォルムと、いわきの海を表す群青(ぐんじょう)色、そして、波しぶきを表す白でつけられた模様が入るのが特徴のだるまです。毎年1月になると行われるだるま市では、多くの参拝客がだるまを買い求め、21種のサイズがあるだるまを、毎年1つずつ大きくしていきます。
初代は、江戸時代から続く伝統工芸である「いわき絵のぼり」の職人のもとで修業し、独立。絵のぼりの製作ができない冬の間に何かできないか、と考えたのがだるま作りでした。絵のぼりで鍛えた、繊細かつ大胆な筆使いで、郷土の誇りであるいわきの海を印象的に表現しただるまを生み出したのです。現在もだるま製作とともに、絵のぼりの製作も並行して続けられており、子供の厄除けをしてくれる鍾馗(しょうき)や、源平合戦など、故事や戦国時代の英雄にちなんだ名場面が、極彩色で染め上げられています。もともと武家の男子の誕生を祝って五月の節句に揚げた旗が、絵のぼりを揚げる習俗となり今ではいわき市の指定無形文化財となっています。
写真上/いわきだるま27㎝ 4,500円(高橋工房☎0246・23・4077)。写真中/いわき絵のぼりの絵付けをする3代目の高橋謙一郎さん。写真下/だるまは、9㎝から62㎝まで、21種のサイズが揃う。
掲載:BRUTUS#844 (2017年4月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。