紙雛箱 みやげもんコレクション 268 BRUTUS No.863
みやげもんコレクション 268紙雛箱
沖縄県/那覇市
文 / 川端正吾
健やかな成長を願い女の子に買い与えた沖縄の紙人形。
もともと雛祭りは、紙や板で作った人形(ひとがた)を川に流して無病息災を祈る流し雛という風習が始まりでした。そこに宮廷で紙を折り上げて作られる、顔も描かれていないとてもシンプルなもの。われていたままごとの「雛遊び」が結びついて、今の形になったといわれています。
この沖縄の紙雛箱は、そんな古くからの形である紙で作られた雛人形です。
沖縄には旧暦の5月4日に「ユッカヌヒー」と呼ばれる年中行事があります。この日は、子供に玩具やお菓子を買って大喜びさせ、子供たちの一年の健やかな成長を願う風習です。街には玩具市が立ち並び、子供たちにせがまれてではなく、親が無病息災を祈って買い与えます。紙雛箱は、女の子のための贈り物の定番で、紙雛が木箱に納められています。
人形は、紙を折り上げて作られる、顔も描かれていないとてもシンプルなもの。琉球まげのような髪形をしています。もともと沖縄では、雛人形を飾る習慣がなく、この紙雛は子供たちがおままごとに使って遊んでいたものでした。
現在は、那覇市の琉球玩具作家・中村真理子さんが作り伝えています。
写真上/紙雛箱4,000円(郷土玩具製作所こくら ryukyuhariko@gmail.com)。写真中/以前紹介した男子の節句飾り「ヤカジ」も製作している。写真下/雛はカラフルな紙が貼られた箱に納められる。
掲載:BRUTUS#863 (2018年2月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。