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節分符 みやげもんコレクション 271 BRUTUS No.866

みやげもんコレクション 270節分符

京都府/京都市
文 / 川端正吾

節分符。800円(平安神宮☎075・761・0221)。

鬼を追いかける「追儺」にまつわる厄払いの護符。

明治維新によって事実上の首都が東京となりました。その後、京都は急激に人口を減らしてしまいます。そんな中、京都を救おうと様々な復興事業が行われ、その一環として明治28(1895)年、創建されたのが「平安神宮」です。平安京遷都を行った桓武天皇と、孝明天皇を御祭神として祀っています。

平安神宮の節分祭では、もともと宮中の古式の節分行事であった「追儺(ついな)」、または「鬼やらい」とも呼ばれる大儺之儀(だいなのぎ)が行われます。儀式が始まると、陰陽師が祭文(さいもん)を奏します。すると、黄金の4つ目の仮面をかぶり、玄衣朱裳(げんいしゅしょう)を身に着けた方相氏(ほうそうし・鬼を追い払うための役人)が、右手に矛、左手に楯を携え、侲子(しんし)と呼ばれる手下の童子を引き連れて現れます。方相氏が矛で楯を3度打つと、宮廷の公卿たちは桃の弓で葦矢を放ち、または桃の杖をふるい鬼たちを追い払うのです。これが現在の節分の豆まきの元となっています。

この儀式に登場する、4つ目の黄金仮面、桃の弓、桃の杖、葦矢が木版で刷られた特別な除魔符が、毎年1月10日前後から2月3日までの期間のみ授与されています。

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写真上/節分符。800円(平安神宮☎075・761・0221)。写真中/平安京の大内裏(だいだいり)の正庁朝堂院の正殿である大極殿(だいごくでん)。写真下/木子清敬と伊東忠太の設計により造営された蒼龍楼(そうりゅうろう)・白虎楼(びゃっころう)。


 

掲載:BRUTUS#866 (2018年4月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。