曲玉鈴 みやげもんコレクション286 BRUTUS No.881
みやげもんコレクション 286曲玉鈴
東京都/墨田区
文 / 川端正吾
猿田彦を祀った白鬚神社に伝わる曲玉の魔除け鈴。
約2000年前に建立(こんりゅう)されたと伝えられる近江最古の大社、〈白鬚(しらひげ)神社〉。琵琶湖に面しており、湖中に大鳥居が立つ景色から「近江の嚴島(いつくしま)」とも呼ばれています。主祭神は猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)。天孫降臨の際に、天照大神によって遣わされた瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の道案内をしたことで知られる、正しい方位を示す国土開拓の神です。人を正しい道に導いてくれると信じられ、旅行安全や交通安全、商売繁盛、方災除けなどの御利益があると親しまれています。また、祀(まつ)られている猿田彦大神の姿が白髪に長いひげを蓄えていることから、長寿の神様としても信仰されており、社名の由来ともなっています。
その近江の白鬚神社から、約1000年ほど前に分社された白鬚神社が、東京の墨田区にあります。東京の白鬚神社で授与されているのが、今回ご紹介する曲玉鈴(まがたますず)。曲玉はご存じの通り、三種の神器の一つとして知られる古代の装身具で、魔除けの力があると信じられてきました。この鈴は近江の白鬚神社の御神宝である曲玉を象(かたど)ったもので、家の玄関先や神棚に吊しておくと、厄除けの御利益があるとされています。
写真上/曲玉鈴1,000円(白鬚神社☎03・3611・2750)。写真中/毎年6月の第1週末に行われる例大祭では、神輿(みこし)が巡行する。写真下/年始には、隅田川七福神巡りを行う参拝客で賑わう。
掲載:BRUTUS#881 (2018年11月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。