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べらぼう凧 みやげもんコレクション290 BRUTUS No.885

みやげもんコレクション 290べらぼう凧

秋田県/能代市
文 / 川端正吾

旗べらぼう(2の帆 47×34㎝)3,500円(北萬凧提灯店☎0185・52・7978)。

能代の空に舞い上がる魔除けの舌出し。

力強い独特の画風で知られる、秋田県能代(のしろ)市の凧。その歴史は古く、かつて坂上田村麻呂の軍勢が淳代(ぬしろ)地方の蝦夷(えみし)征伐を行った際に、空高く舞い上がった凧を目印に入港した、という伝説があるほどです。今から350年ほど前の徳川4代将軍・家綱の時代には、子供はもとより大人もみなで凧揚げを楽しんでいたそうです。明治に入ると、才能あふれる職人が多く現れ、歌舞伎絵や恵比寿、そして「べらぼう」と呼ばれる絵が人気となり、能代凧の意匠を代表する形が完成しました。「べらぼう」とは、あっかんべー、と舌を出した男女の絵柄。「べらぼうめ」や「べらんめぇ」が語源といわれていますがくわしいことはわかっていません。この舌出しは、魔除けの意味が込められているといわれ、男べらぼうは頭に芭蕉の葉、女べらぼうは頭に牡丹(ぼたん)の花が描かれているのが一般的です。今回ご紹介するのは少し風変わりな、頭に旗を載せている「旗べらぼう」。これは、明治20(1887)年創業の老舗、北萬(きたまん)凧提灯店が製作しているもので、日露戦争で勝利したことを記念して作られた絵柄が今も残っているのだとか。
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写真上/旗べらぼう(2の帆 47×34㎝)3,500円(北萬凧提灯店☎0185・52・7978)。写真中/左から女べらぼう、男べらぼう、旗べらぼう。写真下/昭和初期は10軒ほどあった凧屋も現在は北萬だけ。


 

掲載:BRUTUS#885 (2019年2月1号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。