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大山天狗 みやげもんコレクション295 BRUTUS No.890

みやげもんコレクション 295大山天狗

鳥取県/境港市
文 / 川端正吾

大山天狗2,200円。

伝統的な土人形の灯が消えてしまった鳥取に新たな光が。

鳥取の民話を基にした土人形として有名だったれんべい人形。以前、この連載でも紹介させていただきましたが、その後、職人の加藤簾兵衛(れんべい)さんが亡くなってしまい、廃絶してしまいました。近年、鳥取の有名な郷土玩具は次々に廃絶しており、ついに伝統的な土人形を作る人がいなくなってしまったのです。そんな中、れんべい人形のファンで、鳥取の土人形文化の断絶に危機感を抱いた壽美(すみ)剛さんが、鳥取の民話を基にした土人形を新たに作り始めています。簾兵衛さんの資料や映像を調べ、その製法を独学で学んだのだそう。

写真の大山(だいせん)天狗は、鳥取県西部の大山に住むと伝えられる天狗の「伯耆坊(ほうきぼう)」をモチーフにした土人形。平安時代、讃岐の白峯(しらみね)御殿へと崇徳上皇(すとくじょうこう)の霊を鎮めに向かった相模の天狗「相模坊」に代わり、相模の山々の守護を買って出たことで知られ、「日本八天狗」にも名を連ねる有名な天狗です。ほかにも鳥取の民話に由来する人形があり、これからも増やしていく予定だとか。始まったばかりの玩具ですが、鳥取を代表する土人形として、末永く地元に根づいていってほしいです。

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写真上/大山天狗2,200円。写真中/鳥取の境港に伝わる民話に由来する、神通力を持った狐「お種狐」2,300円。写真下/干支物もある。未2,300円(以上創作工芸 スミ屋☎090・2063・9009)。


 

掲載:BRUTUS#890 (2019年4月15号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。