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流し雛 みやげもんコレクション305 BRUTUS No.900

みやげもんコレクション 305流し雛

鳥取県/鳥取市
文 / 川端正吾

流し雛(桟俵)3,240円(信夫工芸店☎0857・23・0506)。

雛祭りの原初的な特徴を残す鳥取の紙雛。

鳥取県鳥取市の用瀬町(もちがせちょう)では、旧暦の3月3日、雛祭りの行事として、米俵の蓋の部分である桟俵(さんたわら)を船に見立て、男女1対の紙の夫婦雛(めおとびな)を桃の枝や菱餅とともに乗せて一緒に川に流して、少女たちが無病息災を祈ります。「用瀬(もちがせ)のひな送り」として鳥取県無形民俗文化財にもなっています。

こうした流し雛は、雛人形の起源ともされていて、紙で作った人形で体をなで人形に災いを移し、川へと流す行事として、平安時代から行われてきました。現在のような雛人形を飾り始めたのは、江戸時代からといわれています。

また、流し雛は郷土玩具としても人気があり、鳥取を代表するものとなっています。今回ご紹介するのは信夫(しのぶ)工芸店で作られている流し雛。昭和21(1946)年から、工芸品として流し雛を作っており、現在は2代目の信夫賢太郎さんが作られています。様々なサイズがあり、上の写真は雛が10人も乗る豪華な仕様。その整列する様子がとてもかわいらしいです。また、紙の雛だけでなく木造りの木工立ち雛も作られていて、これも素朴で味のある玩具です。

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写真上/流し雛(桟俵)3,240円(信夫工芸店☎0857・23・0506)。写真中/流し雛はほかにも様々なサイズのものが作られている。写真下/紙雛だけでなく、木作りの立ち雛も作られている。


 

掲載:BRUTUS#900 (2019年9月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。