五十鈴守り みやげもんコレクション328 BRUTUS No.923
みやげもんコレクション 328五十鈴守り
奈良県/吉野郡
文 / 川端正吾
天之宇受売命とともに舞った神代の鈴。
日本三大霊場といわれる高野・吉野・熊野を結んだ三角形の中心に位置している天河大辨財天社(てんかわだいべんざいてんしゃ)。修験道の祖である役(えん)ノ行者が長年にわたり活動の拠点としたほか、空海もここで修行を行った後、高野山で真言宗を開いています。そんな天河大辨財天社に神宝として祀(まつ)られているのが「五十鈴(いすず)」と呼ばれる鈴です。その由来は古事記にある天岩戸伝説にあります。岩戸に隠れてしまった天照大御神(あまてらすおおみかみ)を外に誘い出すために、天之宇受売命(あめのうずめのみこと)が岩戸の前で舞を舞いました。その結果、天照大御神を外へ誘い出すことに成功し、世界に光が戻る、という有名な伝説です。「五十鈴」は天之宇受売命が舞を舞った際、手に持っていた矛に取り付けられていたものと伝えられています。正三角形につながる3つの鈴は「いくむすび」「たるむすび」「たまめむすび」という魂の進化にとって重要な魂の状態を表しており、この鈴の音を聞くと、心身は深く清められるといわれています。この五十鈴をモチーフにした授与品(写真上)もあり、天之宇受売命が芸術・芸能の神様であることから、特に芸能関係の方々が求めることが多いそうです。
写真上/五十鈴守り2,800円(天河大辨財天社☎0747・63・0558)。根付けの紐も付属する。写真中/6月に行われた夏越大祓式(なごしおおはらえしき)の様子。写真下/天河大辨財天社に祀られる五十鈴の複製品。青銅製。
掲載:BRUTUS#923 (2020年9月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。