収納道 Editor’s Voice No.229
Editor’s Voice
収納道
収納とはその人がもっとも快適or機能的に過ごすためにモノの配置をデザインすることです。なので、職業から年齢から性格から、さまざまな属性によって収納の形は変化していくはずで、料理家には料理家の、コレクターにはコレクターの収納指針があるはず。
そんな考えのものと、今回の収納特集には12人のクリエイターの方々に登場いただきました。デザイナー、料理研究家、コレクター、イラストレーターなどその職業はさまざま。彼ら(彼女ら)が最も「心地い」を追求した成果が特集全編に収められています。
それらを見ていただけるとお分かりいただけるはずですが、どの収納もとても美しい。見せる収納、隠す収納、積み上げる収納、小さな収納など収納のスタイルは各人各様ですが、どれも独特の美しさを持っています。それは狙った美しさというより、機能を追求した果てにある不思議な美しさのようです。収納とは作品であり生き方でもあるのです。
ちょっと話が変わりますが、「デスクが汚い人は仕事ができない」という言葉をよく聞きます。そういいたくなる理屈もわかるのですが、編集者としていろんな方にお会いする経験を積むと「そうでもないな」ということを実感します。特にクリエイターの方々に関してはデスク周りが散らかっているタイプの人も多く、しかも一見混乱の中にその人しかわからない秩序があったりするので、凡人が一見で判断してはいけないと強く思ったりもします。
ある人のデスク周りに混沌を感じても、そこになにか引っかかるものがあれば意味を読み取る努力をしてみるべきです。それは現代アートを理解するために文脈を読み取る努力が必要なのと同じで、その人独自のモノとの関係性が次第に見えてくるはずです。そしてそれは仕事上のアウトプットとけっこう密接な関係性があったりするものです。ただ本当にダメな人もいることはいるので、アート同様なかなか難しいところはあります。