ブルータス - BRUTUS | みやげもん | 088 六郷とんび凧/東京

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みやげもんコレクション 088
六郷とんび凧
東京都/大田区
文 / 川端正吾
掲載:BRUTUS#683 (2010年4月15日号)
いたずらカラスを懲らしめる守護者。多摩川に舞うとんび凧。

 風をはらむ大きな翼、すらりと伸びた尾羽、“ぴん”と突き出したくちばし。大空をゆったりと輪を描いて飛ぶトンビを模した「六郷とんび凧」です。

 凧というと、四角い凧面に描かれた絵を楽しむ角凧が有名ですが、形状でここまでモチーフを表現する凧はとても珍しいものです。「大とんび」と呼ばれるサイズの大きなとんび凧には、羽先の細かい羽毛の動きを表現するための「羽切り」(写真右下)も再現されるという徹底ぶり。本物さながらの姿にこだわって作られるとんび凧は、空に揚げると野生のトンビが敵と間違えて威嚇のために急接近してくるほどです。


 とんび凧の“リアルさ”には理由があります。江戸末期、現在の大田区六郷では、河原で干している魚をカラスが荒らす被害が多発していました。そこで、カラスの天敵であるトンビを模して作った凧を揚げてみると、カラスが驚いて逃げ回ったことから、カラス除けとして盛んに作られるようになったのが始まりなのです。トンビを捕まえてその体つきを調べ、より本物に近づくよう研究した、という記録も残っています。

複雑な構造を持つとんび凧の製作技術は〈六郷とんび凧の会〉に受け継がれ、作り方を指導してもらえる。個人宅なので、問い合わせはハガキで。〒144-0056 東京都大田区西六郷2-34-4 吉田恒男