みやげもんコレクション 091
あぶ凧
愛知県/桜井町
文 / 川端正吾
掲載:BRUTUS#686 (2010年6月1日号)

チクリ! とされそうで一瞬身構えてしまう、危険な雰囲気のあぶ凧。
赤と黒の模様がなんとも「危険」なサインを発していますよね。そう、あの厄介者の「虻(あぶ)」がモチーフとなった、愛知県桜井町に伝わる「あぶ凧」です。空を飛ぶ昆虫は数あれど、なぜ虻が凧になったのか? 由来には諸説ありますが、凧揚げをした時の“音”に関係があると言われています。その昔、名古屋で凧の骨格にピンと張った糸を付け、糸の振動で「ブーン!」と音を立てる凧が作られました。この音が虻が飛び回る音に似ていたため、虻がモチーフの凧が作られるようになったそうです。名古屋のあぶ凧が昭和初期に桜井に伝わり、桜井凧として今も作り続けられています。名古屋のあぶ凧のほとんどがお店では流通しておらず入手困難なのに対し、桜井のあぶ凧は名古屋の老舗凧問屋〈凧茂〉で市販されています。
以前ご紹介した「せみ凧」や「とんび凧」同様、あぶ凧も袖凧と呼ばれる左右に袋状の袖を持つタイプ。風をとらえやすいので初心者でも揚げやすく、また凧自体に立体感があり存在感が出るので、インテリアとしても映えます。柄も洗練されていて、とてもモダンです。
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江戸時代後期から続く凧問屋〈凧茂本店〉の店内。和凧の一大産地である名古屋の凧が揃う。桜井凧は、あぶ凧のほか、蜂凧や福助凧などもあった。あぶ凧(小)2,500円。●凧茂本店Tel: 052・522・5261。 |
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