みやげもんコレクション 096
八事(やごと)の蝶
愛知県/名古屋市
文 / 川端正吾
掲載:BRUTUS#691 (2010年8月15日号)

名古屋で最も賑わった行楽地に舞う、色鮮やかな和紙の蝶。
名古屋市東部の八事には、300年以上もの歴史を持つ興正寺があります。かつてこの一帯は有数の行楽地でもあり、参詣と遊山を兼ねて多くの人々が訪れました。こちらの門前みやげとして知られたのが、今回ご紹介する「八事の蝶」です。
明治維新により禄を失った元尾張藩士である前田柳三右衛門が、内職として作り始め、蕎麦饅頭などとともに売り始めたのが始まり。鮮やかに彩色された和紙と竹ひごでできた蝶がヒラヒラ舞う姿が人気となり、八事の名物となりました。みんな、写真の蝶の下の部分に竹棒を差し、手に持ったり、襟に差したりして楽しんだそうです。
大正初期には町に八事遊園地が開園して大いに賑わい、そちらの売店でも「八事の蝶」は名物として売られていました。しかし、昭和になって東山動物園がすぐ近くにできたことから廃園となり、同時に蝶もそのまま作られなくなってしまいました。現在、この蝶を販売するお店はありませんが、「八事の蝶保存会」がその技法を受け継いで、天白区区民祭りなどのイベントで、製作の指導や、無料で蝶の配布を行っています。
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八事の蝶保存会では、区民祭りなど地元のイベントを中心に、ボランティアの会員が蝶の製作指導や配布を行っている。参加イベントの情報は、「八事ネット」をチェック。 http://www.yagoto.net |
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