みやげもんコレクション 222 口入人形
京都府/京都市
文 / 川端正吾
さまざまな人間関係の縁を取り持ってくれる頼もしい仲人人形。
最近は海外からの参拝客で大賑わいとなっている伏見稲荷神社の裏参道にあたる稲荷山。静かな裏参道の途中にあり、うっかり通り過ぎてしまいがちな穴場的なスポットである荒木神社で授与されているのが、今回ご紹介する「口入人形」です。
「口入」というのは、人の縁を結ぶ仲人のことで、縁結びの縁起物。夫婦と「伴」の3体の狐がセットになっており、これを授与所でいただくと、火打ち石で清めてくれます。そのまま境内の口入稲荷大神のもとに供えてお祈りをした後、家に持ち帰り、清潔な場所に祀ります。見事願いが叶えば、またこの口入稲荷大神のもとへ返納するのです。社の周囲は、返された口入人形であふれんばかりとなっていました。この口入人形が結んでくれるのは、恋愛や結婚などの縁だけでなく、就職や学業など、さまざまな人間関係の縁を取り持ってくれます。
これまでは、瀬戸の窯元が人形を製作していましたが高齢で廃業されてしまい、昨年秋から和食器を扱う京都のたち吉が製作した人形に切り替わりました。裃(かみしも)の色合いなどが少し変わり、気分一新しています。
写真上/口入人形5,000円*3体1組(荒木神社☎075・643・0651)。写真中/授与された人形を口入稲荷大神に供えた様子。写真下/返納された口入人形であふれる社。以前の人形は裃の色がやや薄い。
掲載:BRUTUS#817 (2016年2月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。