マガジンワールド

みやげもんコレクション 239 針綱神社の狛犬

愛知県/犬山市
文 / 川端正吾

木彫りの犬3,500円(針綱神社☎0568・61・0180)。

織田信康の手による木彫り人形がルーツ。犬山の安産犬。

愛知県犬山市にある針綱神社。こちらの御祭神は尾治針名根連命(おわりはりなねむらじのみこと)で、安産、厄除け、長寿の神として信仰されてきました。そして、神社に伝わる授与品がこの犬の木彫り。非常にプリミティブな魅力のある縁起物です。立派な男性のシンボルがついているうえに、ここだけがしっかりと赤く塗られており、子授けへの願いがありありと象(かたど)られています。もともとは、織田信長の叔父である織田信康が安産と延命長寿を願って、手彫りの犬の人形を奉納し、安産祈願の神社として特に知られるようになり、この授与品が生まれました。信康の彫った犬の複製が、本殿に祀られており、今も見ることができます。また境内には子供の守り神とされる御神馬もおり、供えられた豆をいただくと、子供の歯ぎしりやひきつけに良いといわれるなど、子供にまつわる縁起の宝庫のような場所です。

犬はお産が軽く多産であることから、安産祈願のモチーフとして古くから親しまれてきました。最も有名なものが江戸の犬張り子でしょう。また土人形の犬の玩具もありますが、こうした木彫りの犬は全国的に見ても非常に珍しいものだと思います。

image image
写真上/木彫りの犬3,500円(針綱神社☎0568・61・0180)。写真中/子供の歯ぎしりやひきつけに良いとされる御神馬。写真下/織田信康が安産祈願のために手彫りして奉納したという犬の複製。


 

掲載:BRUTUS#834 (2016年11月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。