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おぼこ人形 みやげもんコレクション 245 BRUTUS No.840

みやげもんコレクション 245おぼこ人形

山梨県/南巨摩郡
文 / 川端正吾

おぼこ人形各400円(奈良田の里☎0556・48・2552)。

南アルプスの秘境にいまも伝わる女子の祝い人形。

日本一人口の少ない町、山梨県早川町。その最も奥に位置する奈良田の集落は、南アルプスの山々によって周囲から隔絶されてきた歴史があり、明治期までは、一番近い集落へ行くだけでも徒歩2時間以上かかっていました。そのため、この地域だけの独特の風習が残っており、言語も周辺とは異なる独特な方言を使う「言語島」となっているなど、「秘境中の秘境」として知られています。また、孝謙天皇が8年間湯治を行ったと伝えられ、温泉愛好家たちには「女帝の秘湯」と呼ばれています。孝謙天皇にまつわる「奈良田七不思議」も伝わっており、塩を得るのが難しい山間地に、塩水が湧く池を出現させたりと、様々な超常現象を起こし、集落を豊かにしたそうです。

そんななんとも不思議な奈良田に伝わるのが、この「おぼこ人形」。「おぼこ」とは「幼い子供」という意味の方言です。この集落には、女の子が生まれると、最初の小正月を迎える際に、桐の木で作った人形を贈る、という習慣がありました。現在はほとんど行われなくなってしまったそうですが、郷土玩具となって残っています。

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写真上/おぼこ人形各400円(奈良田の里☎0556・48・2552)。 写真中/古くからの奈良田集落は、今ダムの湖底へと沈んでいる。 写真中/孝謙天皇のおかげで塩が湧くようになったといわれる「塩の池」。


 

掲載:BRUTUS#840 (2017年2月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。