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鉈彫りこけし みやげもんコレクション 260 BRUTUS No.855

みやげもんコレクション 260鉈彫りこけし

東京都/港区
文 / 川端正吾

鉈彫りこけし各1,400円(橋本恒平 
kodobira@gmail.com)。中央の表情が異なる作品は、4代目の橋本さんによる創作絵柄。

津軽発、東京経由の自由なこけし。

青森県の温湯(ぬるゆ)温泉や大鰐(おおわに)温泉を中心に作られている伝統こけし、津軽系こけし。伝統こけしの中では比較的新しく、形や模様などがそれほど統一されていない、自由でおおらかな作風が特徴のこけしです。一般的に津軽系というと、アイヌ模様や達磨絵が胴模様に描かれ、裾広がりの形をした温湯温泉のこけしを思い浮かべる人が多いと思いますが、今回ご紹介するのはプリミティブな佇まいが魅力の大鰐のこけし。その中の間宮型と呼ばれるものです。

間宮型は初代・間宮明太郎さんが始めたもの。目は単純な点のみで表現され、胴模様なども非常に素朴です。間宮型は2代目まで親子の継承でしたが、3代目はまったく間宮家とは関係ない山形の方が引き継ぎ、そして、4代目としては、なんと東京の郷土玩具愛好家の方が継いでいます。

現在は、青森ではなく、東京の住宅街で製作に取り組んでおり、大きな振動が出てしまうろくろで挽けないため、鉈(なた)彫りで胴体を仕上げています。そのため、まだ伝統こけしの津軽系間宮型は名乗らず、鉈彫りこけしとして製作をされています。

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写真上/鉈彫りこけし各1,400円(橋本恒平 kodobira@gmail.com)。中央の表情が異なる作品は、4代目の橋本さんによる創作絵柄。写真中・下/3代目・五十嵐嘉行さんによる伝統的な間宮型こけし。


 

掲載:BRUTUS#855 (2017年10月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。