鉢巻だるま みやげもんコレクション 269 BRUTUS No.864
みやげもんコレクション 269鉢巻だるま
愛媛県/宇和島市
文 / 川端正吾
顔まで真っ赤な雄々しい表情の宇和島のだるま。
関東では、だるまというと、黒目の入っていない目ナシだるまをイメージする方が多いと思いますが、西日本になると、黒目が入り、鉢巻きをしただるまが多くなります。今回ご紹介する宇和島だるまもその一つ。鋭い眼光と大きな鼻、そして、立派なあごひげのある男らしいだるまです。また、顔まで真っ赤なのも特徴で、より迫力ある表情に見えます。「宇和島張り子」と呼ばれる張り子玩具の製作元、よしを民芸店にて製作されており、こちらではほかにも、巨大な牛鬼が練り歩くことで有名な地元のお祭り『うわじま牛鬼まつり』の張り子や、当連載でも以前ご紹介した鹿(しし)踊りの「鹿面」など、様々な郷土の民俗芸能をモチーフにした張り子を扱っています。
なぜ鉢巻きを巻いているのか? については、実ははっきりとした由来は残っていません。鉢巻きの起源は、兜(かぶと)の汗止めであったことから、鉢巻きは気を引き締めるものの象徴になっていました。そこで、大願成就を願うだるまにも鉢巻きを締めて、気合を入れて頑張っていこう、という気持ちの表れでないか、といわれています。
写真上/鉢巻だるま6,000円(よしを民芸店☎0895・24・6812)。写真中/以前、当連載で紹介した「鹿面」もよしを民芸店による「宇和島張り子」の作品の一つ。写真下/とても小ぶりな、新作の鹿鈴。
掲載:BRUTUS#864 (2018年3月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。