静岡県周智郡にある「小國（おくに）神社」は創建から1400年余りの歴史を持つと伝わる、遠江国（とおとうみのくに）の一宮です。御祭神は大己貴命（おおなむちのみこと）、だいこく様という名前の方が、「因幡の白兎」などの神話で馴染みが深いかもしれません。だいこく様は、数々の御神徳がいただける神様として、遠州地方では特に大切な神様とされてきました。そんなだいこく様を祀（まつ）る小國神社は別名「事任神社（ことのままのかみやしろ）」、つまり「願い事を意のままに叶えてくれる神社」としても知られているほどです。

小國神社には、かつて、このだいこく様をモチーフにした授与品があり、縁結びや福徳円満の縁起物として授与されていました。御利益を求めてやってくる参拝客だけではなく、だるま蒐集家（しゅうしゅうか）にも非常に人気が高いものでしたが、いつの頃からか姿を消してしまい、幻のだるまとなっていたのです。ところが、もともと福島で製作されていただるまだったことが縁で、東日本大震災をきっかけに、福島復興の願いを新たに込めた「大國（だいこく）だるま」として復刻されました。鮮やかな色彩が特徴的で、たびたび品切れが起きるほどの人気となっています。