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宝の鈴と杵 みやげもんコレクション306 BRUTUS No.901

みやげもんコレクション 306宝の鈴と杵

大阪府/大阪市
文 / 川端正吾

宝の鈴(左)2,000円、宝の杵(右) 1,000円(共に大乗坊☎06・6643・4078)。

毘沙門天王の手にする宝具にあやかった縁起物。

大阪の日本橋といえば、関西屈指の電気街であり、近年はアニメカルチャーの聖地としても有名です。そんな繁華街の中にあるのが大乗坊(だいじょうぼう)。もともとは四天王寺の近くにありましたが、天文・天正年間に織田信長の焼き討ちで現在の場所に逃れ、再興されました。以来、「長町の毘沙門さん」として地域の方々に親しまれています。本尊の秘仏・毘沙門天王(びしゃもんてんのう)立像は日本の四大毘沙門天像の一つにも数えられています。

そんな大乗坊に伝わる縁起物が宝の鈴と杵(きね)です。鈴は毘沙門天王の持つ如意宝珠(にょいほうじゅ)を象(かたど)った土鈴となっています。古くから鈴の音は人の笑い声といわれ、「笑う門には福来たる」ともいわれることから、毎朝の鈴を振ることで諸々の災いを払い清め、家内和合、諸人快楽(しょにんけらく)の御利益があるとされています。

杵は、この鈴に合わせて授与されるようになったもので、毘沙門天王の右手にある諸魔降伏(しょまこうふく)の金剛宝杵(こんごうほうしょ)を象っています。こちらは1つ振ると陰陽和合、2つ振ると除災招福、3つ振ると家内円満、子孫繁栄、福寿無量(ふくじゅむりょう)の御利益がいただけるといわれています。

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写真上/宝の鈴(左)2,000円、宝の杵(右)1,000円(共に大乗坊☎06・6643・4078)。写真中/日本橋の賑やかな繁華街の中に静かに佇む大乗坊。写真下/社務所にて通年授与されている鈴と杵。


 

掲載:BRUTUS#901 (2019年10月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。