桃太郎誕生 みやげもんコレクション311 BRUTUS No.906
みやげもんコレクション 311桃太郎誕生
岡山県/倉敷市
文 / 川端正吾
伝説の発祥の地で生まれた桃太郎の張り子細工。
岡山県の伝承といえば、あの有名な「桃太郎伝説」です。かつて、南部の吉備地方では、「温羅(うら)」と呼ばれる恐ろしい鬼が暴れており、崇神天皇は、武勇の誉れ高い吉備津彦命に、討伐を命じました。しかし、吉備津彦命は、温羅に矢を射るも、ことごとく温羅が投げる石に撃ち落とされてしまいます。そこで2本の矢を同時に射ると、1本は石に撃ち落とされますが、もう1本は温羅の左目に命中しました。温羅はあわててキジに姿を変えて逃げ出しますが、吉備津彦命は鷹となり追いかけます。すると温羅はコイとなり、自分の目から流れ出る血でできた川に飛び込みました。吉備津彦命は負けじと鵜(う)に変身してコイとなった温羅に食らいつき、ついに捕らえて退治したのです。この話がベースとなって、今の桃太郎の伝承が生まれた、といわれています。
そんな、桃太郎伝説に縁の深い倉敷市で作られているのが、この「桃太郎誕生」の張り子細工。人形作家の方が立ち上げた、道楽かん工房にて作られています。郷土玩具としては歴史は浅いですが、温もりを感じる風合いが人気となっています。
写真上/特産の備中和紙で作られた張り子細工。桃太郎誕生 中3,650円(道楽かん工房☎086・462・8637)。写真中/お尻には蒙古斑も。写真下/張り子は大中小があるほか、小型の土人形もある。
掲載:BRUTUS#906 (2019年12月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。