今町べと人形 みやげもんコレクション325 BRUTUS No.920
みやげもんコレクション 325今町べと人形
新潟県/見附市
文 / 川端正吾
子供の発育と厄除けを願う新潟の土人形。
新潟県見附市にある今町には、明治から続いた郷土玩具「今町べと人形」があります。「べと」とは新潟の言葉で、土や泥の意味。このべと人形は子供たちの玩具として親しまれてきましたが、戦後になって新しい玩具にとって代わられてしまい、廃絶してしまいました。しかし、平成に入り、全国の愛好家より復活を望む声が高まり、地域活性化の一環として〈今町べと人形伝承会〉が作られ、2008年より復元が始められています。
今町は昔から子供への教育が熱心な町で、人形のモチーフも子供や、子連れのものがとても多いのが特徴です。
例えば、古くからの代表的な作品である「獅子頭かつぎ」もその一つ(写真右下)。獅子舞は江戸時代に、神楽など様々な芸能に発展し、祭礼行事として全国に広まったもの。学生服のような上着を着た子供が、楽しそうに獅子舞遊びをしており、今町べと人形らしさがとても出ている作品です。また今年、このコロナウイルス禍の中で話題となった、疫病を退散させてくれる妖怪「アマビエ」も新作として登場し、人気を集めています(写真上)。
写真上/アマビエ800円。素焼きをしないため、壊れたものは土に還るのも特徴です。写真中/獅子頭かつぎ1,500円。写真下/お福さん1,500円(以上今町べと人形伝承会☎0258・66・2249)。
掲載:BRUTUS#920 (2020年8月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。