玉島だるま みやげもんコレクション351 BRUTUS No.946
みやげもんコレクション 351玉島だるま
岡山県/倉敷市
文 / 川端正吾
七転び八起きの精神を今に伝える起き上がり小法師。
岡山県倉敷市の玉島地区は、西日本では珍しいだるまの産地。黒い隈取りの目が特徴的な「玉島だるま」が今も作られています。その歴史は比較的新しく、戦後から始まります。戦後復興の最中、地元の縁日などの露店でよく売られていた群馬県の高崎だるまをお手本にし、「玉島独自の郷土玩具を作ろう!」との思いから生まれたものです。
そんな玉島だるまの製作元は現在では、たった1軒だけが残っているのみに。今回ご紹介するのは、その最後の1軒である〈玉島ダルマ・虎製造所〉のだるまです。達磨大師の「七転び八起き」にちなみ、底におもりが入れられていて、起き上がり小法師(こぼし)になっています。大きなだるまは、髭や眉も力強く立派に描かれますが、小ぶりのものは、非常にシンプルな表情の絵付けがされ、それがまた素朴で愛嬌のある佇まいになっています。写真上、左側に並ぶ小さな8cm程度のものは「豆だるま」と呼ばれ、デフォルメされた表情や胴模樣がなんとも可愛らしく、特に人気を集めています。そのほか、大きいものでは60cmのものまであり、全部で16のサイズがあります。
写真上/玉島だるま 8cm600円、15cm1,500円(玉島ダルマ・虎製造所☎086・522・3753)。写真中/側面には耳の模様が。写真下/起き上がり小法師になっており、底は半球状。開運招福のシールも。
掲載:BRUTUS#946 (2021年9月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。