ファッションスペシャル〈豊田市美術館〉by 谷口吉生! 特集内容 No.217
ファッションスペシャル〈豊田市美術館〉by 谷口吉生!
ファッションディレクター祐真朋樹による連載「Miracle Closet」の半年に一度の拡大版。今回の舞台は谷口吉生の設計によって1995年に開館した〈豊田市美術館〉です。愛知県豊田市のかつて挙母城(七州城)のあった高台の一角に建設されたこちらは、『Casa BRUTUS』2014年11月号「日本のBEST美術館」特集でも2位にランクインされ、谷口吉生の最高傑作と賞される非常に評価の高い施設。しかも、開館から23年を経たにも関わらず、古さを全く感じさせない奇跡的な建築なのです。それはなぜなのか。手がかりは杉本博司さんと谷口吉生さんの会話の中にありました。
先日偶然に旅先のホテルの朝食室で、谷口氏とお話する機会があった。私は私の疑問を率直に聞いてみた。そしてその答えは意外なものだった。「僕の建築はもともと古いから、古くならないんですよ」。この言葉は正調モダニズムと言えばよいのだろうか。ル・コルビュジエが目指した近代の箱を、今でもさらなる進化を目論んで追求を続けている、谷口吉生とはそういう人なのだ。
杉本博司『空間感』(CASA BOOKS)より
特集担当編集/西尾洋一