From Editors No. 18 フロム エディターズ 2
From Editors 2
暮らしの場所に「欲しいもの」をひとつ加える幸せ。
必要なものはもう全て揃っているのではないかと思うくらい、私たちの周りにはたくさんのものが並び、私たちの暮らす場所は様々なものが溢れている。おそらく、「生きるための最小限」はもう十分。それでも私たちは、手に入れたいものを探し、使いたいものを見つけてしまう。そのものの美しさに魅せられたり、いま以上に便利になったり嬉しく思ったりするだろう暮らしのひとコマを提示されると、やっぱり心が動く。贅沢をしたいわけじゃない。いつもの日常を、もっと楽しく、もっと過ごしやすいものにしたいのだ。それに、目に入る様々なものたちはそれぞれに、魅力に満ちている。ちいさなものひとつにも、使う人の暮らしを見据えた工夫と願いが込められていて、そんな姿を見せられると、つい自分の手元に置いておきたくなる。そして気に入ったものがひとつ増えるだけで、たぶん当面は幸せな気分でいられる。重宝してる、大事にするね。日常の折々でそんな言葉をかけたくなる。そんな気分を運んでくれるもの、これから先もずっと一緒の時間を過ごしたくなるもの、本当に使いたいものを探しながらこの特集を作りました。
ここからは個人的な話ですが、今回ご紹介したものの中で、我が家の欲しいものリストの筆頭に加わったのは、携帯できるブック型ライト。その詳細は本誌を見ていただくとして、ほどよいサイズと明るさ、USB端子でも充電できる利便性、なにより佇まいの美しさ。そっと開いてみたときの、ページの隙間から淡い光がすうっと漏れ出す瞬間の昂揚感は実に魅力的です。家の中はもちろん、旅のお供にもと思っています。
井狩由貴(本誌編集部)