From Editors No. 19 フロム エディターズ 2
From Editors 2
穏やかに時間が流れるOjaiの街で思ったこと。
巻頭のファッションストーリー「& style」の撮影で訪れたのは、ロサンゼルスから北西へ車で約2時間のところにある、Ojai(オーハイ)。西海岸というとビーチのイメージが強いけど、そこは山あいの美しい自然が印象的な小さな街。1970年代からヒッピーの街として人気を集めたエリアが、再び注目されている理由は、3年前にオープンしたホテルの……という詳細は本誌をご覧いただくとして、この街の穏やかなライフスタイルには、暮らしのヒントがたくさん詰まっているように感じました。
注目を集めるオーハイの中でも、とりわけ人気のスポットの1つが世界でも珍しい屋外書店〈バーツ ブックス〉(本誌P.23)。蔵書整理のために軒先で始めた本の販売をきっかけに、現在では元々住宅だった敷地全てを書店スペースに。オープンエアに配置された300台以上の本棚、強い陽射しの下でコーヒーを飲みながら読書をする人、店先の看板には「日没まで営業」の文字。時計の針が指し示すものとは違う時間が流れるこの街には、確かに“心地良さ”がありました。近くの山に登って見たサンセットも美しかったな。自然との共生ってこういうことなのかなとも思ったり。
約2週間の西海岸滞在を終えて帰国してからしばらくは、時差ぼけの功名か、太陽とともに目覚めることが出来ていた自分も段々と以前の生活サイクルに……。でも時々オーハイでの滞在をふと思い出して、ちょっと早起きしてみたり、自然に触れてみるとやっぱり気持ちいいんですよね。誌面をご覧いただければ、皆さんにもオーハイの街の魅力がきっと伝わるはずです。
利根正彦(特集担当)