From Editors No. 35 フロム エディターズ 1
From Editors 1
ストーリーは極私的なもの、かも。
今号の特集「みんなのストーリー」はいかがでしたか? 通常のファッション特集とも、モノの特集とも違う、『& Premium』らしい捏ねくり方をしてみました。Better Lifeに関わる日用品には、服にも道具にもその数だけの物語があるはず、ということからスタートした企画でした。それじゃ、自分にとってストーリーのある「もの」や「こと」って何だろう……と考えると、最初に頭に浮かんだのは、母の形見のクラシックな腕時計。日曜日に日本橋のデパートに行く際、つないだ母の手首にいつもありました。フェイスが中指の爪くらいの大きさで、とてもじゃないけど私には似合わない。受け継いだのにつける機会が極端に少ない、残念なシロモノです。無水鍋にも物語が詰まっているかな。私がいま使っているのは自分で買ったものだけど、子どもの頃に家にあったそれでお赤飯を炊いたり、サツマイモを蒸かしたり、日々の食卓で活躍していました。というように、人それぞれに別々のストーリーがあるんでしょうね。読者のみなさんのストーリーはどんなものでしょう。思い出したり、考えたりしながら、今号を楽しんでいただければ幸いです。
岩下祐子(本誌編集部)
![小さな円形のフェイスは、かなりドレッシー。ベルトはかつて黒のヌメ革だったけれど、オーバーホールに出した際にブラウンのワニ革に替えました。日焼けした肌色が突然白くなって、手首が奇跡的に細くなったらつけてみようかな。](https://img.magazineworld.jp/2016/09/pre35-fe1-01.jpg)
![2サイズあるうちの小さいほうを所有。最近の活躍は小振りのトウモロコシを茹でたり、ラタトゥイユやチキンアドボ(手羽先の醤油煮込み)をつくったり。煮こぼれの焦げ跡は「激落ちくん」で擦ればあっという間にキレイになります。](https://img.magazineworld.jp/2016/09/pre35-fe1-02.jpg)