マガジンワールド

背景がある飲み物。 From Editors No. 52

From Editors 2

背景がある飲み物。

 

何年か前に、ダージリンへ行きました。あの名高い紅茶の産地です。インド北部にあって西はネパール、北へ行けばチベット、東はブータンという山岳地帯。チベット仏教の寺院が点在する山間にあり、涼しい空気はいつも湿気を帯びて濃い霧が漂う、神秘的な土地でした。その後に訪れた、玉露茶の名産地・福岡の八女でも、特別に良いという茶畑は谷あいにあって、川から立ち昇る霧が覆っていました。

それぞれ産地のプロに聞けば、茶葉が育つ際には、寒暖の差や霧の発生が重要、と教えてくれます。ダージリンでも玉露茶でも基本は同じ。ただ土地ごとにより細かな気候や土壌の違いがあり、作る人々たちにも製茶法にも違いがあり、全部が相まって仕上がり選別・パックされ、店に並んでいるわけです。

今回の特集でも、ダージリンはもとより、キームン、静岡茶、スリランカ紅茶、台湾高山茶など、いろんなお茶の楽しみ方を紹介しています。ほんの休憩のひと時、たとえ行ったことのない土地のことでも想像できる。どんな人がどんな場所で作っているのだろう、と考える余白を残している。それもお茶の楽しさとすれば、ワインでもコーヒーでも、このあたりの感覚は似ている気がします。

(渡辺泰介/本誌編集部)
 
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数年前、ダージリンで茶畑を撮った一枚。斜面を覆うように濃霧が立ち込めていました。
アンド プレミアム No. 52

お茶の時間にしましょうか。

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アンド プレミアム No. 52 —『お茶の時間にしましょうか。』

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