毎号、花の連載からスタートしている『&Premium』。四季を感じ、暮らしを彩ってくれる花は、ベターライフに欠かせないものだと思っています。でも取材に行く前は、花との生活に憧れつつも、実際余裕がないと難しいよな…と思っていました。
だけど取材した方々からたびたび耳にしたのは、「ゆとりがないからこそ、花を楽しむんです」ということ。日々バタバタと過ぎて行く毎日のなかで、花に触れて会話することで、ふっと立ち止まり、本来の自分を取り戻す。そのことの大切さをしみじみと感じました。
またみなさんに共通していたのは、花の楽しみ方がじつにさり気ないということ。それが花屋やフラワースタイリストなど、その道のプロであっても、です。普段の食事に使うような器や、ジャムの空き瓶などに野草のような花をさらりと生け、開き切った花も最後まで慈しむ。そんな飾らないスタイルが、なんとも素敵だったのです。ちゃんとした花器がないと…、そう構えていた私は肩からスーッと力が抜ける思いでした。
そんな私の最近の楽しみは、取材に訪れたクリスマスローズの生産者、大木俊明さんから譲り受けた一株のクリスマスローズに、毎朝水をあげること。ひっそりと咲きつつも、日々力強く成長する花の姿を見て、私も頑張ろうと前向きになる。花特集を終えて、そんな心境の変化を感じている、今日この頃です。