マガジンワールド

オンラインでは見つけられないものにたくさん出会いました。 Editor’s Voice No.246

Editor’s Voice
オンラインでは見つけられないものに
たくさん出会いました。

「実は接客、苦手なんです…」。今回撮影させていただいたショップの店主から、何度この言葉を聞いたことでしょう。思い出せば、ロケハンで一人の客としてお邪魔したとき。扉を開けても、シーン……。結局話しかけられないまま終わったお店がいくつもありました。ここで一つお伝えしたいです。なんでもいいので、店主に質問してみてください。ロケハンで話しかけづらかったショップの店主ほど、一つ尋ねたら(やや食い気味に)語ってくれました。彼らを“歩くグーグル”と勝手に命名したいですが、ネットや本に載っていない情報もあるので、それ以上かも。「これ、なんですか?」「なにに使うんですか?」なんて初心者丸出しの質問でも大丈夫。そもそも今回取材した店主たちは、バイヤーや設計士、はたまた単なる物好きだったという人が多いのです。接客に慣れてはいないけれど、こちらが興味アリとわかると尋ねた以上のことを教えてくれる、親切な店主ばかりでした。
 
おうち時間でオンラインでの買い物が増えたこの頃。ビッグデータ時代といわれるなかで、購買履歴にもとづく“おすすめアイテム”はすぐに必要なものを教えてくれるので快適です。でも、自分が想像もしなかった新しい発見をする機会は、少し減ってしまったように思います。今回の特集では、そんな今だからこそ、わざわざ足を運びたくなるショップを集めました。取材を重ねるうち、素敵な空間やセレクトはもちろんですが、何より個性あふれるマニアックな店主にたくさんお会いしました。いいショップというのは総じて、見たことがないもの、知らなかったことに出会える場所だと思います。しっかり感染症対策をして、気になったショップをぜひ訪れていただけるとうれしいです。

 
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〈グラフペーパー〉南青山店のギャラリーにて。壁一面のヴィンテージ〈ブラウン〉製品。ディーター・ラムスを愛するディレクターの南貴之さんが、車でヨーロッパを4,000キロ(!)走って買い集めたそう。もちろん販売中。
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京都の古道具店〈bild〉にて。最初は奥にある、自立しない緑のビンが素敵…と思って眺めていた。が、よく見ると手前にお祭りで見るアレが…!光を透かすとこんなに美しい佇まいなのですね。こちらのお店、ほかにもおもしろいものがたくさんあります。
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目黒通り沿いにオープンした〈in a station〉のオリジナル家具。アメリカ西海岸の古材とメタル素材がラテンレコードに合います。インテリアショップですが、店主の趣味でRichard LemusやJUAN JOSE CALATAYUDなどメキシコ60’sのジャズ盤も多数あり。
 
特集担当編集/奥村桜子
 
CASA BRUTUS No. 246

理想の暮らしが買える店2020 新しいショップ様式

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