ベターライフとおやつ。 From Editors No. 38
From Editors 1
ベターライフとおやつ。
おやつに限らず「私はこれが好き」はいいけど、「好き」は、自分の中にあるもの。大事なのは、それを他者に押し付けないことだと思っています。自分の信じる「いいもの」は、もちろんいい。ただ、その「いい」から外れたものを持つ人を前に「これは何々じゃない」と否定するのは、端的に虚しいこと。それより、たとえばおやつだったら、みんなが好きなのはどこのなに? なんならそれを試して、好きなものを見つけよう……と、これでいいわけですし、本誌が担いたいのはそのガイド役、お手伝いです。別にテーマはおやつに限らず服でも日用品でもアートでも、その本質は変わりません。
さて今回は、お菓子がテーマ。ですから、たとえば、このどら焼き16軒の16コ、似ているようでそれぞれ何が違うんだろう?という視点で、幾つか企画を立てています。クッキー詰め合わせ缶の分解からシュークリーム、プリン、カステラに団子にわらび餅に、といろいろ比べてみた結果は本誌をご覧いただきたいのですが、ひとつ挙げると大福。基本は豆大福ですが、今回は代わりにイチゴ大福や、そこから派生したのか、最近いろいろ出てきてる果物大福に注目してみました。
ミカンとか金柑とかブドウとか、最初聞いたら「?」が頭に浮かぶけど、選んで試せば「!」なものがちゃんとあるんですね。「大福はどこそこの豆大福に限る」と自分で信じるのはいいが、食べる前からミカン大福を否定しても仕方がない。未知の可能性を自分で閉ざしては、もったいない。「新しい美味の発見は、新しい天体の発見以上のものだ」とか、誰か偉人の言葉もあったっけ……とまあ、そんな特集になりました。はい、だから「おやつは、たいせつ」なんです。