ごあいさつ 2014年3月20日 From Editors
ごあいさつ
2015年3月20日 From Editors
ここ数日、ぽかぽか陽気が続きました。
編集部の鉢植えにも新芽や蕾がちらほら。
盛大なくしゃみもあちこちから聞こえます。
また、新しい季節がめぐってきました。
今号のクウネルは「暮らしに、いい道具」。
あらためて見直してみたい、
身の回りの日用品や道具についての特集です。
しかし、トップバッターの記事には
”吉本由美の懺悔”、という、
心おだやかではない文言が……。
作家の吉本由美さんは、
雑貨やインテリアのスタイリストの第一人者として、
70年代の『アンアン』にはじまり、
『クロワッサン』や『オリーブ』などで活躍していました。
その後スタイリストを引退して、
執筆活動に専念しているのですが、
いま、いったい何を懺悔したいというのでしょう。
そこから始まったお話は、まさに雑貨創世記。
業務用の台所道具や食器の機能美、
ヨーロッパのシンプルな日用品のすばらしさ。
そんな価値観を教えてくれた吉本さんに、
「雑貨の来た道」をたっぷりうかがいました。
あわせて、40年余の東京暮らしを経て
熊本のご実家に戻った吉本さんの、
現在の暮らしも取材しています。
ご両親の使ってきた家具や日用品と
吉本さんの愛用品が同居した心地よい住まい。
こちらもぜひお見逃しなく。
本誌にはそのほかにも、
さまざまな道具が登場します。
長野県の安曇野のとある小学校で
鉛筆削りに使われている
昔ながらの折り畳みナイフ「肥後守」。
フィンランドのカルストゥラという町に暮らす
84歳のマリヤさんが「機織り」で作るのは
裂き織りのフロアマットや、伝統のルイユ織りです。
スタイリストの伊藤まさこさんは、
近ごろ手にした日用品のなかから、
「これは便利!」のお墨付きだけを選りすぐり、
どーんとまとめて紹介してくださいました。
「トーレンス」という年代物のレコードプレイヤーの、
修繕・修復を手がける人たちにも会いにいきました。
分解してすべてのパーツを磨きあげ、また組み立て直す。
息を吹き返したプレイヤーで聴くレコードはもちろんのこと、
音楽の楽しみかたについて語る彼らの言葉も、
じつに心に響くものでした。
そして。
ファッション特別企画「おしゃれと春」も、
ぜひごらんください。
自分だけのスタイルを持ち、
好きな服を選んで着こなす人は、
おしゃれなうえに、とてもいい顔をしています。
よいと思うものは人それぞれ。
自分にとっての「大事」は何か。
まずはそこから。
装いも心もきりっとした、
かっこいい大人になりたいものですね。
戸田 史