ごあいさつ 2014年5月20日 From Editors
ごあいさつ
2015年5月20日 From Editors
風薫る……を通り越して、
太陽ぎらぎらの夏日も多かった五月。
季節外れの台風までやってきて、
何だかめまぐるしい、
青葉の季節となりました。
本日発売のクウネル、テーマは「心が動くカタログ」です。
手に取ったり目にすると、
体がふわりと浮かぶような、
うきうきした気持ちになるもの。
毎日の生活のなかにひそむ、
ささやかに心を震わせてくれること。
ずらりと並んだのは、34人の方々が、
日頃から大切にしている”もの”と”こと”です。
大根おろしにこだわる人、
脚立にのぼりたい人、
工事現場のクレーンを愛でる人、
芝生のにおいで幸せになる人、
冷たいバターを好む人……。
ちいさなよろこびを集めた
このカタログを眺めると、
見慣れたいつもの風景や日常の道具が、
ある人の目を、心を通すと、
違って見えることがわかります。
毎日の暮らしのなかで、自分の心を動かすのは何だろう、
そんなことを考えるきっかけになればと思います。
そして今号には、『きょうの猫村さん』や
手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した『逢沢りく』、
本誌の人気連載「B&D」など、
私たちの心を掴んで離さない物語を生みだす作家、
ほしよりこさんのインタビューもあります。
関西にあるご自宅を訪ねて、
連載40回目をむかえた「B&D」を執筆する様子を、
ずうずうしくもテーブルの横にぴたりとへばりついて、
実況中継(?)させていただいたうえ、
愛用する仕事道具や本棚を拝見しつつ、
創作のこと、ふだんの生活、子ども時代……、
たっぷりとお話をうかがってきました。
何気ないおしゃべりの向こうに見えてきたのは、
描いて描いて、描き続けることで、
思考を重ね物語を深めてきた、ほしさんの真摯な姿。
「もう、こんなに自分自身のことを
たくさん話すことはないかもしれない」とは、ご本人の弁。
ぜひこの機会に、ほしさんの言葉を味わってください。
長くなりましたが、最後にもうひとつだけ。
連載ページが少し模様替えになりました。
新しい連載企画もスタートします。
手軽なストレッチや運動をとりあげる「今日の、ひとのび」、
大切な言葉と絵を紹介してもらう、その名もずばり「ことばと絵」、
人それぞれの暮らしの哲学を探る「すむところ」、
画家の牧野伊三夫さんによるちいさな町案内、
「マキノ旅行社」の第一回は松本編です。
お馴染みの連載陣ももちろん健在。
あわせて、どうぞよろしくお願いいたします。
戸田 史