ごあいさつ 2014年1月20日 From Editors
ごあいさつ
2015年1月20日 From Editors
東京は、ぬけるような青空が広がった週末でした。
近ごろの私の楽しみのひとつは、
澄み切った冬の空を見上げながら、
あちこちの街を散歩することです。
なぜ上を向いて歩いているのかというと、
(もちろん前方も確認しますよ、キケンですから)
本日発売のクウネル1月20日号でご紹介をしている
「ヤドリギ」についての記事がきっかけなのです。
ヤドリギは宿木。半寄生の灌木です。
サクラやクヌギなどの落葉広葉樹を宿主にしていて、
あるじの葉が落ちて休眠に入る季節になると、
こんもり丸く繁ったその姿を現すそうです。
ひょんなことから、国内外のヤドリギ調査に
没頭するようになったという
デザイナー黒田益朗さんの膨大な調査ノートから、
その一部を紹介してもらいました。
冬枯れの枝にくっついた
鳥の巣のような風情がなんとも愛らしい。
何で今まで気付かずに暮らしてきたんだろう、
ぜひ自分も発見してみたい、と思った次第。
冬の散歩の新たな楽しみがひとつできました。
今号は題して「はじめて物語」。
自分らしい生きかたや働きかたをみつけて、
新たな一歩を踏みだした方々のお話や、
ヤドリギ散歩のようにささやかな、
新しい年に新しく始めてみたいことを、
さまざまにご紹介する1冊となりました。
服のほつれやほころび、虫くいの穴を、
かぎ針編みのモチーフや
色とりどりのステッチで補修して、
かわいく目立つ「お直し」をしている横尾香央留さん。
仕事場を持たず、
道具(かぎ針と刺繍糸)をかばんに詰めて、
生まれ育った街を歩き回りながら
行きつけの喫茶店で編み物をする。
そんな彼女の日常を追いかけながら、
服作りに憧れた子ども時代から、
自分にしかできない「お直し」という仕事を
見つけるまでのお話をうかがっています。
長く続けているという水泳教室にも同行しました。
そのスポーツ水着姿の凛々しさたるや!
ぜひ本誌をごらんいただければと思います。
そのほか、
ふだんからおしゃれな装いで評判の人たちが、
続々と和装に目覚めているらしいと耳にして、
うかがってきたのは、芽生えはじめた「着物ごころ」。
クウネルで初めての着物企画です。
もちろん着物には細かな決まりごとがあるのですが、
それだけにとらわれず、自由な気持ちで選びとった着こなし。
(おもに)初心者とは思えぬ美しさに、ほれぼれします。
また、「つづる、続ける、つみあげる」という特集では、
古今東西、それぞれのスタイルで書き綴られた
手書きの日記をご紹介しています。
こちらもこちらで、自由奔放、ノールール。
どんなことであれ、
新しいことを始めるときは、
凝り固まったアタマをほぐしてから、
おおらかな気持ちでスタートを切りたいものですね。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
戸田 史