永遠に映画の話を聞いていたい。 From Editors No. 80
From Editors 1
永遠に映画の話を聞いていたい。
今回の巻頭企画では、65名に「私が好きな映画」について取材していますが、改めて、人からおすすめの映画の話を聞くって面白いなと感じました。皆さんが教えてくれた映画は、大人のラブストーリー、青春もの、ホラー&スリラー、美しい日本映画など、ここでは書ききれないくらい、じつにバラエティ豊かで、知らない作品との出合いにワクワクしました。自分には無縁と思ってスルーしてきた映画も、あの人が言うなら、と観たくなる。自分が好きな映画は、こんな見方もあったのか、とまた観たくなる。当初の予定よりも取材する人数が増えたのですが、皆さんから映画の話を聞くのが楽しすぎて、もっともっと聞きたいくらいでした。取材した時期はSTAY HOME週間と重なり、仕事とはいえ、映画を観まくれたおかげで私自身もかなり救われたような気がします。映画があれば、さまざまな場所へ行けて、さまざまな人生が味わえる。改めて、映画のパワーを実感しました。
今回、個人的な「好きな映画リスト」に新たにインしたのは、今さらですが、黒澤明監督の『生きる』でした。志村喬さんの演技にとても感動して、余韻に浸っていたら、そういえば『男はつらいよ』の一作目にも出演していたなと、そのまま寅さんシリーズを見はじめて、気づけば朝方……なんてこともありました。ある一作をきっかけに、興味がどんどん広がっていくのも映画のいいところですよね。暑い季節がやってきましたが、今年は涼しい部屋で映画ざんまい、という夏はいかがでしょうか。
田中紀子(本誌編集部)