年の離れた友だちから、ありがとうの手紙。 From Editors No. 73
From Editors 1
年の離れた友だちから、ありがとうの手紙。
近所に住む知り合いのお子さん、Tくん(6)は保育園の年長さん。保育園でソーラン節の発表会があるとのことで、ご近所の私もお呼ばれして見に行ってきました。発表会も無事終わり、事前にリサーチした好きなお菓子“カルパス”と“チーズ系スナック”(すでに大物感あり……)を差し入れると、恥ずかしそうに「ありがとう」のひと言。それだけでも十分嬉しかったのに、後日チョコレートと一緒にこんなかわいいお手紙が届きました。
“カルパスとチーズのおかしありがとう ソーランブしみにきてくれて、ありがとう”。
6歳の男の子が、私のために一生懸命手紙を書いている情景を思い浮かべたら、なんだかうるっときてしまう。“ソーランブし”という誤字(?)すら愛おしい。LINEのスタンプひとつで簡単にお礼が伝えられる今、わずか数行でもいいから誰か一人を想って手紙を書いてみるのも悪くないなと思うのです。かけた時間の分だけ、いや、それ以上の想いが相手にきっと届くはず。年の離れたお友だち、Tくんからそんなことを教えてもらいました。
11/20発売号「ありがとう、の習慣は素敵です」では、「あの人が書いた、ありがとうの手紙」という企画を担当しています。夏目漱石、林芙美子、向田邦子。言葉を巧みに操る彼らが、たった一人のために書いた感謝の手紙を紹介しています。どの手紙も、言葉選びから文章の構造に至るまで、「さすが」と思わず膝を打つものばかり。きっと、大切な誰かにありがとうの手紙を書いてみたくなるはずです。
原田 妙(本誌編集部)