ごあいさつ 2014年2月20日 From Editors
クウネル発売の1ヶ月前がやってきました。
東京は2週続けての雪の週末でした。吹雪の夜があけ、窓からの見慣れた風景が白銀の世界にぬりかえられたそのさまにしばしうっとりするも、そうだ今日は取材のある日だった、と長靴姿で雪道を出掛けました。雪に不慣れな東京の街は大混乱。交通機関は麻痺していて取材場所に定刻に集合することも難しく、都会の雪は困ったことだらけなり……と思ったのですが。
ようやく動き出した電車を乗り継いで最寄り駅までたどり着く。滑らぬように地面とにらめっこしながら歩いていた私に「気をつけて、がんばれよー」と声がかかりました。ふと見あげると、スコップを手にせっせと雪かきをしていた男性(見知らぬ人)がにっこり笑っています。思わずこちらも「おつかれさまです!」と挨拶をして通り過ぎました。目的地までの道中は終始こんな具合で、笑顔で声をかけたり、かけられたり、転んだ人に手を差しのべたり。太陽に照らされて輝く残雪のなか、ふだんの生活では見えにくい人々のつながりや気持ちが、生き生きと浮き立って見えたように感じました。むろん「雪」という困難がなくても、いつでもこんなふうにいられたら、もっとすばらしいのですけれど。
そんな都会の雪もほぼ消えて、樹々の新芽がふくらみはじめています。もうすぐ春、うきうきと心躍る季節の到来です。3月発売のクウネルのテーマは「おしゃれ」。自分らしい装いを楽しむためのヒントのつまった1冊になれば、と思っています。
2014年2月20日
戸田 史