ごあいさつ 2014年3月20日 From Editors
東京には春一番が吹き、そろそろ桜がほころびはじめる季節となりました。
編集部の窓辺にある鉢植えの早咲きアマリリスも、盛大にピンクの花を咲かせています。入り口に置かれたガジュマルは、クウネル創刊の頃から10年以上育てている重鎮ですが、今年も元気に、きれいな薄緑色のやわらかな新芽をつけ始めました。
春は色のある季節。「だからこそ、着る服は控えめでいい」という人もいれば、「いきいきとした明るい色に挑戦したくなる」という声もある。なかには「冬に着てた上着を脱ぐだけさ」という人だっています。おしゃれの基準って、本当に人それぞれですね。
今号のクウネルは「服と私」。
仕立てのよい定番も、とびきりおしゃれな1着も、 それを身につける「私」の存在があってこそ輝くもの。
たとえば、カメラマンの高橋ヨーコさんが披露してくれたのは、すりへって破れて”溶ける”まで着こんだトレーナーや、自分好みにジョキジョキとハサミを入れてリデザインしたシャツや麦わら帽子など。他の追随を許さないこだわりの数々には驚くばかり。どんな服を選びとり、そして身につけるのか。おしゃれとは自分自身への問いかけなのだと、あらためて思った次第です。
岡尾美代子さんのクローゼットから見せていただいたのは、この春に身につけたいものや、買ったもの。井伊百合子さんには、大人こそ楽しみたいピンクの装いを教わりました。同じく井伊さんが夢中になっているという、「耳のすてきな女性」10人の美しい横顔もぜひ。アメリカ•ニュージャージーに暮らす作家のアイリーン・ベッカーマンさんには、その79年の人生と服の思い出をうかがってきました。
スタイルのある自分らしいおしゃれについて考える、きっかけになればと思います。
また、日本のあちこちにも取材に出かけています。沖縄・与那国島で出会ったのは、島の中学生たちのセーラー服をせっせと縫い続けている金井瑠都さん。郷土料理は石川県・奥能登のいか料理です。塩辛をのせたお茶漬けや、白菜の漬け物や豆腐との炊きあわせ…。思わずのどが鳴り、お酒も一杯ひっかけたくなるようないかのおかずがたくさん登場しますので、あわせてお楽しみください。
戸田 史