マガジンワールド

From Editors No. 178 フロム エディターズ

特集内容

Discover Modern Architecture in Japan
世界遺産に登録したい!
ニッポンが誇る名作モダニズム建築 全リスト

2020年の東京オリンピックへ向け、巷では競技場建設やホテル建て替えなど、開発プロジェクトの話が次々を発表されていますが、それにともない、丹下健三、谷口吉郎といった昭和の巨匠建築家が手がけた名建築が取り壊しの危機に直面しています。

一方、2013年に来日した外国人観光客はついに1000万人を突破。今や観光は日本経済のひとつの柱となりつつあります。そして、外国人観光客に人気の「お宝」のひとつが日本の「モダニズム建築」。外国人向けのガイドブックには、日本の様々な名所・旧跡に混じり、独自の発展を遂げたモダニズム建築の数々が紹介されています。

意外に日本人が気づいていないニッポンのお宝、それがモダニズム建築です。この美しいニッポン名物をぜひ世界遺産に登録したい!


 

Editor’s Voice

オークラ本館建て替えは本当に必要!?

<ホテルオークラ東京>建て替えの噂は絶えずありました。でも新聞報道でそのニュースを知った時は、悲しい気持ちになりました。

報道では、2015年8月いっぱいで本館を閉鎖、2019年春の開業を目指し、高さ200m(38階:ホテル&オフィスの複合施設)+80m(ホテル専用棟)の2棟を1000億円かけ新築するということです。20階分をオフィスに割り当て、ホテルの客室数も建て替え前より3割増えるそうです(日本経済新聞2014年5月23日付)。

そもそもこのホテルは、創業者・大倉喜七郎により「日本の美を体現したホテルをつくる」という強い意志と審美眼のもと1962年に開業しました。本館ロビーやレストラン「オーキッドルーム」のデザインは、オークラ設計委員会の委員長を務めた谷口吉郎です。本館ロビーは、デザイン性、雰囲気、気品、どれをとっても世界に類をみないものです。それが2020年の東京オリンピックを控えた今、経済性を優先するあまり失われようとしていることは、建築に携わるものとして、またこのホテルの一ユーザーとして非常に残念なことです。

私は個人的に、「オークラ」という世界展開をするホテルブランドとして、そのフラッグシップである「本館」を取り壊すことが得策であるとは思えません。例えば、ペニンシュラホテル。東京をはじめ、世界中の都市でホテルを展開していますが、やはり香港のあのペニンシュラのクラッシクな建物があるからこそ、世界のどの都市でもペニンシュラのアイデンティティーを維持できるのではないでしょうか。

まだ少しだけ時間はあります。あと9か月・・。できる限り<ホテルオークラ東京>に脚を運び、できるだけ多くの人に、このホテル本館の「空間の素晴らしさ」を伝えていきたいと思います。

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特集担当編集/白井良邦
CASA BRUTUS No. 178

ニッポンが誇る名作モダニズム建築全リスト

897円 — 2014.12.10電子版あり
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CASA BRUTUS No. 178 —『ニッポンが誇る名作モダニズム建築全リスト』

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