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安藤桃子さんが魅了された土地は、やっぱり映画愛が溢れていました。 From Editors No.859

From EditorsNo.859 フロム エディターズ

安藤桃子さんが魅了された土地は、
やっぱり映画愛が溢れていました。
いまさら観てないとは言えないのだから、自他共に認める映画好きか、映画人に話を聞かないと面白味がない。“実はあの名作をまだ…”という、ある種のカミングアウトを期待しつつも、取材対象の映画観を知ることに特集の真の目的があるのだから、結構な変化球を投げてしまったわけです。でも、遠回しな質問は、そのまま夢の話に繋がったり、本人が自分を再発見したり、世界情勢の話になったり。想像以上に広がって、映画の奥深さを再び知ることになったのです。

話を聞きたかった方の一人に映画監督の安藤桃子さんがいる。何しろ家族全員が映画人であり、本人も10月に1年間限定の映画館〈ウィークエンドキネマM〉を高知市街にオープンしたばかり。早速、現地入りして拾ったタクシーに行き先を告げると、「おびさんロードにできた映画館ね。嬉しいねぇ。私らにとっちゃ安藤桃子さまさまだよ」という返事。初老の運転手さん曰く、地元の活性化に一役も二役も買っているという。「東京でも話題になってさ、お客さんみたいに取材に来る人がいるでしょ。それとね、高知は映画人口が多いんですよ。私ら世代は、映画館で映画を観ることが日常の楽しみだからね」とのこと。

到着すると、安藤さんが高知に移住するきっかけとなった監督作『0.5ミリ』の上映&トークショーの真っ最中。監督自身の言葉で、映画製作の裏話や、移住の経緯、そして、昔は高知の街にたくさんの映画館があったことなどが語られていた。上映後に中高年層の観客と話をすると、どれだけ彼らの人生が映画と共にあったかを感じることができた。「いまさら観てないとは言えない映画って聞かれるとたくさんあるけれど、それを探すのも楽しいことなのよ」と。肝心の安藤監督のインタビュー。こちらも純粋で深い映画愛に満ち溢れておりますので是非。

 
●︎︎︎鮎川隆史(本誌担当編集)
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高知の繁華街「おびさんロード」に面した〈ウィークエンドキネマM〉。雑居ビルを1年間限定の映画館に改装。その昔はここも映画館だったという。地元の人を中心に、映画好きがあつまったらこの笑顔!


ブルータス No. 859

いまさら観てないとは言えない映画。

693円 — 2017.11.15
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ブルータス No. 859 —『いまさら観てないとは言えない映画。』

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